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フリーエディターの竹石祐三が、大いに頭を悩ませて選び抜いたG-SHOCK「MRG-B2100D」を掲載する。

2024年発表モデルのうち、G-SHOCK「MRG-B2100D」を勧める
2020年以降、海外の見本市には参加できずにいる。そのため実際に手に取って確認できる新作の数はぐっと減ったが、限られた中でもいくつもの印象に残るモデルに出合えているのはラッキーというほかない。……いや、それだけ各ブランドがクォリティーの高いモデルを数多く発表しているということか。それゆえ「2024年発表モデルからお勧めの1本を挙げよ」というミッションにはいつものことながら大いに頭を悩ませたのだが、そんな中で捻り出したのがMR-Gの「MRG-B2100D」である。

G-SHOCK「MRG-B2100 Series」Ref.MRG-B2100D-1AJR
スーパーコピー時計 代引きタフソーラー。フル充電時約22カ月駆動(パワーセーブ時)。64Ti×コバリオンケース(縦49.5×横44.4mm、厚さ13.6mm)。20気圧防水。57万2000円(税込み)。
ベースとなっているG-SHOCKの「2100」とは、初号機のフィロソフィーを継承しつつ、デザインを現代的にアップデートさせたシリーズ。これをG-SHOCK最高峰のMR-Gクォリティーで作り上げたモデルが、2024年5月にアナウンスされた「MRG-B2100B」で、八角形ベゼルを備えた特徴的なルックスはそのまま、外装素材にチタンとコバリオンを採用し、表示もアナログのみとした。筆者の推しであるMRG-B2100Dはその第2弾。基本的な仕様は前作と同様に、ベゼル、ケース、ブレスレットのカラーをシルバー色に変更したモデルだ。

G-SHOCK 新作 MRG-B2100B
G-SHOCK「MRG-B2100 Series」Ref.MRG-B2100B-1AJR
2024年5月にローンチされた「MRG-B2100B」。MR-Gコレクションとして、初めて「2100」シリーズを採用したモデルだ。タフソーラー。フル充電時約18カ月(パワーセーブ時)。Ti×コバリオン(ベゼルトップ)×64チタンケース(縦49.5×横44.4mm、厚さ13.6mm)。20気圧防水。64万9000円(税込み)。

前掲のMRG-B2100Bと比較して、竹石が推すMRG-B2100Dはシルバー色が基調となっている。耐摩耗性を高めるために、外装の表面にはチタンカーバイト処理が施されている。

「MRG-B2100D」の見どころ
他のG-SHOCKやMR-Gと比べてしまうと、実にらしからぬシンプルデザインなのだが、それでも見どころが多いのはさすがカシオ。とりわけ本作において特筆すべきはダイアルで、木組に着想を得たこの意匠は日本の伝統技術のエレメントを巧みに取り入れるカシオのセンスが表れており、立体的な格子状のデザインがソリッドな外装の中で主張しすぎることなく、ほどよいアクセントになっている。しかもソーラー発電に必要な光を格子の隙間からさりげなく取り込むという、機能とルックスを兼ね備えたデザインエレメントになっているのだから、その発想力はさすがというほかない。

また外装だが、これは2022年にリリースされて話題となった「MRG-B5000」と同じく、細分化したパーツを組み上げる構造が採用されている。これにより、細かな凹部までしっかりと磨き上げることが可能になり、さらにベゼルは、研磨することでプラチナに匹敵する輝きを放つコバリオンで製作したことで、G-SHOCK最高峰シリーズのMR-G……というより、高級時計にふさわしい質感に仕上がっている。実際に本作を手に取るとわかるが、マットな質感をメインに、ベゼルの斜面やブレスレットの一部を鏡面とする仕上げ分けのバランスも見事で、高級感を与えつつ、G-SHOCKらしいタフな印象やツールっぽさも失われていない。

複雑な形状ながら、パーツを細分化することで細部まで研磨を施したMR-G。加えて耐衝撃構造と両立するため、ベゼルの各パーツとケースの間に緩衝体を組み込むことでモジュールを衝撃から保護するマルチガードストラクチャー構造となっている。
ケースは直径が44.4mm、厚さは13.6mmと、小径モデルがトレンドとなりつつある昨今においてはやや大きめだ。だが、外装素材にチタンとコバリオンを用いたことで、公称値は122gと軽量。たしかに外装にチタンを使った他のMR-Gと同様、その佇まいこそソリッドかつマッシブだが装着感は軽快で、これなら積極的に身に着けたくなる。

なぜ“第2弾”モデルが推しなのか?
と、ここまではMRG-B2100の両モデルに共通する感想なのだが、その中でも2024年の推し時計として“第2弾”のMRG-B2100Dを選んだのはなぜか。それは第1弾モデルが外装をブラックでまとめたことにより、G-SHOCKらしさが色濃く出ていたから。G-SHOCKなのでそれは当然だし、ファンも“らしさ”を求めるだろうから、最初にフルブラックのモデルをリリースするのはうなずける。だが筆者は、シルバー色の外装を組み合わせた、よりベーシックなルックスだからこそ本作に惹かれた。つまりG-SHOCK“らしさ”が抑えられた、ごく普通の高級時計然とした佇まいのMR-Gがラインナップされたことに、ちょっとした驚きを感じたのだ。

本作についての取材を行った際、カシオの担当者から雑談レベルの会話の中で「これ、結構いいでしょ?」と訊かれたことが印象に残っている。スタンダードな高級時計らしいルックスに仕上がったことに対する満足感が伝わってきたからだ。MR-Gのクォリティーと性能を確保しながらもルックスは実にベーシック──そのギャップとインパクトが、本作を強烈に印象づけた。

2025年の新作モデルのうち、特筆すべきドレスウォッチを5本選出した。

ジャガー・ルクルト「レベルソ・トリビュート・モノフェイス」

ジャガー・ルクルト「レベルソ・トリビュート・モノフェイス」Ref.Q7168420
手巻き(Cal.822)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(縦40.1×横24.4mm、厚さ7.56mm)。3気圧防水。139万9200円(税込み)。
ジャガー・ルクルトのアイコンのひとつである「レベルソ」のラインナップは多岐にわたる。その中で、オリジナルモデルの趣を色濃く残した「レベルソ・トリビュート・モノフェイス」の新作を取り上げよう。本作は、1931年に同社が発表したオリジナルモデルに、非常に近いプロポーションに仕上げた新サイズである。

縦40.1mm、横24.4mm、厚さ7.56mmのサイズ感は、現代基準ではコンパクトなモデルに分類される。ここ数年にわたって各社はコンパクトなモデルのラインナップを充実させており、その理由としては、一時期の大型化からの揺り返しや、ファッションスタイルの多用化、女性顧客の増加などが考えられる。本作のラインナップへの追加は、そのような背景の下によるものと予想されるが、手首のサイズを問わずにフィットするサイズ感は広く歓迎されることだろう。

機能は、片面に時分表示とオリジナルに準じたもの。また、ロゴとインデックス、ミニッツウェイトラックのみで構成される文字盤はエッセンシャルで、コンパクトなサイズ感も相まってクラシカルかつエレガントな仕上がりである。搭載されるのは、古典的な角型ムーブメントの傑作のひとつであるCal.822。この意匠とムーブメントの組み合わせは、本作を選びたくなる理由のひとつとなることだろう。今般紹介したオパーリン仕上げのシルバーカラーモデルと、サンレイ仕上げのブルーラッカーモデルが用意されている。

ロレックススーパーコピー時計代引き「パーペチュアル 1908」
ロレックス「パーペチュアル 1908」Ref.52506
自動巻き(Cal.7140)。38石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約66時間。Ptケース(直径39mm、厚さ9.50mm)。50m防水。
 ロレックスが、2023年に全く新しいドレスウォッチコレクションとして発表した「パーペチュアル 1908」に、プラチナケースの新作が追加された。パーペチュアル 1908は、ロレックスの偉大な発明のひとつであるパーペチュアル(自動巻き)とブランドの誕生年である1908年に名前を由来している。ノンデイトに時分針とスモールセコンドという構成は、クラシカルなドレスウォッチの王道と言うべきもので、発表時には大きな話題となったことは記憶に新しい。

本作はプラチナケースに、ロレックスではプラチナモデルにのみ採用されるアイスブルー文字盤が組み合わされたモデルだ。文字盤にはライスグレインモチーフのギヨシェ装飾が施され、その意匠もクラシカルな雰囲気を強めている。ベゼルや裏蓋にはフルーティング装飾が与えられた点がロレックスらしいデザインであり、その凹凸によるきらめきが華やかさを添えている。

搭載されるムーブメントは、パーペチュアル 1908に合わせて発表された自動巻きのCal.7140である。シリコン製シロキシ・ヘアスプリングを採用し、パワーリザーブは約66時間と、現代的で実用性の高い仕上がりである。

パテック フィリップ「ゴールデン・エリプス」
パテック フィリップ 新作 ゴールデン・エリプス 5738/1
パテック フィリップ「ゴールデン・エリプス」Ref.5738/1
自動巻き(Cal.240)。27石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KRGケース(縦39.5×横34.5mm、厚さ5.9mm)。3気圧防水。951万円(税込み)。
最新かつ卓越した技術を古典的なデザインに落とし込むことに長けているのがパテック フィリップだ。また、同社はさまざまなドレスウォッチをラインナップしていることでも知られる。今般取り上げるのは、「ゴールデン・エリプス」のブレスレットモデルだ。

本作は、ゴールデン・エリプスの中では大型のケースを持つRef.5738に追加された初めてのブレスレットモデルである。“黄金の長円”という名の通り、縦39.5×横34.5mm、時計仕上がり厚さ5.9mmの長円型のケースと、シンプルな時分針の構成はゴールデン・エリプスのアイコン。シンプルでエレガントな佇まいである。このシルエットを実現するのが、薄型ムーブメントのCal.240である。

組み合わされるブレスレットは完全新設計だ。外観はミラネーゼ風であるが構造は別物で、長さ調整が可能である点がトピックスである。剛性感がありながら、その質感の滑らかさは特筆すべきもので、薄型の仕立てと相まって優れた装着感が期待できる。

ショパール「L.U.C カリテ フルリエ」
ショパール L.U.C カリテ フルリエ
ショパール「L.U.C カリテ フルリエ」Ref.168631-3001
自動巻き(Cal.L.U.C 96.09-L)。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。ルーセントスティール™(直径39mm、厚さ8.92mm)。30m防水。300万3000円(税込み)。
薄い仕立てのドレスウォッチは繊細で、使用の際には、ユーザー側に相応の配慮が必要というのが長年の相場であった。そこに一石を投じたのが2005年に発表されたショパールの「L.U.C カリテ フルリエ」であった。本作は、その最新モデルとなる。

「カリテ フルリエ」は、ショパールやパルミジャーニ・フルリエなどが共同で定めた時計の品質基準である。その内容は非常に厳しいもので、単純な精度のみならず、耐衝撃、耐磁性、温湿度サイクル試験などの多彩な認定試験が定められている。L.U.C カリテ フルリエは、ラウンドケースに時分針とスモールセコンドといったクラシカルなドレスウォッチのフォーマットでありながら、その品質基準に合格するモデルなのだ。

そんなL.U.C カリテ フルリエの新作モデルは、初作のデザインから着想を得ており、文字盤上の放射状のラインで区切られたふたつの同心円によって時分表示を区別可能な“セクター”を特徴としている。そのほか、チャプターリングはサーキュラーサテン仕上げ、スモールセコンドダイアルは繊細なスネイル仕上げとなる。

この意匠に組み合わされるムーブメントはCal.L.U.C 96.09-Lであり、厚さ3.3mmながらマイクロローターによる自動巻きを備えつつ、積載式二重香箱を搭載してパワーリザーブ約65時間を備える。加えて、ムーブメントに施される仕上げは極めて高品質なもので、評価が非常に高い。

オメガ「パリ 2024 ブロンズ ゴールド エディション」
オメガ パリ 2024 ブロンズ ゴールド エディション
オメガ「パリ 2024 ブロンズ ゴールド エディション」Ref.522.92.39.21.99.001
手巻き(Cal.8926)。29石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約72時間。ブロンズゴールドケース(直径39mm、厚さ11.7mm)。3気圧防水。184万8000円(税込み)。公式ホームページでは完売。
オメガは国際的なスポーツ大会であるオリンピックのオフィシャルタイムキーパーを務めており、それにちなんだモデルをリリースしてきた。本年に行われたパリ2024オリンピック&パラリンピックの開催に合わせて発表されたのが、「パリ 2024 ブロンズゴールド エディション」である。

デザインは1939年に製造されたオメガの腕時計からインスピレーションを得たものだ。当時のオメガはスポーツ計時の分野で貢献を始めた頃と重なり、本作はこの点に着目して企画されている。そんな本作の特徴は、ケースや文字盤に使用されている素材だ。39mmのケースは、オメガ独自の合金であるブロンズゴールド、文字盤は1%のゲルマニウムを混ぜて黒く変色しにくくしたAg925シルバー、時分秒針はオメガ独自の合金である18KセドナゴールドにブロンズゴールドのPVD加工を施して仕上げられたものだ。すなわち、オリンピックのメダルに使用される貴金属として象徴的な金銀銅が用いられている。

インスピレーション元となったモデルが手巻きムーブメントを搭載していたことから、本作に搭載するのも手巻き式のマスター クロノメーター認定ムーブメントのCal.8926である。ヴィンテージテイストを有しながら、現代基準で最高レベルの実用性を持つ点はオメガならではの魅力である。

タグ・ホイヤーの2025年発表モデルを、ラトラパンテ搭載

今回は、ラトラパンテ(スプリットセコンドクロノグラフ)を搭載させた「モナコ」によって、アヴァンギャルドへの回帰を見せたタグ・ホイヤーを取り上げる。

アヴァンギャルドに回帰した腕時計ラトラパンテ
タグ・ホイヤーの基幹コレクションの中でもクラシックな雰囲気を維持し続けてきた「モナコ」。もう一方のアイコンである「タグ・ホイヤー カレラ」が時代に合わせてケースデザインを一新させてきたのとは対照的に、モナコのデザインは不可侵なものだった。しかし2024年の新作で、同社はそこに手を入れた。ヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエのエボーシュをベースとする「タグ・ホイヤー モナコ スプリットセコンド クロノグラフ」では、ケースバックをサファイアクリスタルに刷新。ケース自体もエッジを効かせた新造形に進化を遂げている。ノンリミテッドだが、タグ・ホイヤー スーパーコピー時計代引き極小生産モデルで、年間20本程度(受注生産)となりそうだ。

タグ・ホイヤー モナコ スプリットセコンド クロノグラフ
タグ・ホイヤー「タグ・ホイヤー モナコ スプリットセコンド クロノグラフ」Ref.CBW2182.FC8339
ブランド初となる機械式の腕時計ラトラパンテ。エボーシュの地板とケースにTi素材を採用し、ムーブメント重量で約30g、時計全体でも約85gの軽量化を実現。トランスパレント化されたダイアルデザインも斬新だ。自動巻き(Cal.TH81-00)。3万6000振動/時。パワーリザーブ約65時間。Tiケース(縦41×横41mm、厚さ15.2mm)。30m防水。要価格問い合わせ。
今年のヒーローピースは「タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ」の新作で、ジャック・ホイヤーのお気に入りだったRef.7753SNがモチーフ。グラスボックスタイプのケース仕様で初のブレスレットモデルとなった。 

タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ
タグ・ホイヤー「タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ」Ref.CBS2216.BA0041
2024年のヒーローピース。ジャック・ホイヤーのお気に入りだったRef.7753SNをモチーフとするが復刻版ではなく、グラスボックス仕様のニューケースで再現。同仕様のケースでは初のブレスレットを採用する。自動巻き(Cal.TH20-00)。33石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。SSケース(直径39mm)。100m防水。93万5000円(税込み)。
タグ・ホイヤー カレラ

(左)タグ・ホイヤー「タグ・ホイヤー カレラ トゥールビヨン クロノグラフ」Ref.CBS5011.FC6566
1月のLVMHウォッチウィークで発表された自社製トゥールビヨンクロノグラフ搭載モデル。メタリックな質感を持つティールグリーンダイアルは、同時期に登場した「DATO」と同色。インダイアルは同色のアズール仕上げ。自動巻き(Cal.TH20-09)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。SSケース(直径42mm)。100m防水。336万500円(税込み)。
(右)タグ・ホイヤー「タグ・ホイヤー カレラ スキッパー」Ref.CBS2241.FN8023
2023年にSSで復刻された「スキッパー」の18KRGモデル。1967年にイントレピッド号でアメリカズカップに優勝したクルーは「アクアスター」を着用。翌68年に発売された記念モデルがモチーフだ。自動巻き(Cal.TH20-06)。33石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。18KRGケース(直径39mm)。100m防水。302万5000円(税込み)。
タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300 GMT
タグ・ホイヤー「タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300 GMT」Ref.WBP5114.BA0013
新しいアクアレーサーは、ミドルケースのプロファイルを刷新した42mmケースを採用。ケース厚では12mm程度のボリュームがあるが、ラグのフォルムは特に薄く調整され、適切な装着感を実現している。自動巻き(Cal.TH31-03)。30石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。SSケース(直径42mm)。300m防水。58万8500円(税込み)。

キャロル・カザピをインタビュー。「私たちは、再びオートオルロジュリーの世界に戻ってきた」
タグ・ホイヤーで辣腕を振るうキャロル・カザピ。「トゥールビヨンの女王」だった彼女は、今やモダンなオートオルロジュリーの旗手になろうとしている。今回タグ・ホイヤーがW&WGで発表したのは、モナコのラトラパンテ。機構もさることながら、価格も飛びぬけている。ベースになったのは、2023年のオンリーウォッチでお披露目されるはずだったモデル。しかし、それをそのまま量産するとは思ってもみなかった。

[タグ・ホイヤー/ムーブメントディレクター]Carole Kasapi(キャロル・カザピ)
1969年、フランス生まれ。ラ・ショー・ド・フォン時計学校を卒業後、1990年にコンセイユレイに入社。1992年からルノー・エ・パピに在籍。その後、カルティエ、ヴァン クリーフ&アーペルなどを含むリシュモン グループの設計責任者となる。2020年にはタグ・ホイヤーに移籍した。2021年にガイア賞を受賞。現在、筆者が最も尊敬するムーブメント設計者のひとり。
「ラトラパンテの計画は3年前に始まりました。というのも、オートオルロジュリーの世界に、良いコンプリケーションと共に戻ってこようと思ったからですね。そしてタグ・ホイヤーと言えばクロノグラフ」

しかしなぜ、あえてラトラパンテを選ぼうと思ったのか?

「不思議なことに、タグ・ホイヤーは腕時計のラトラパンテを作ってこなかったのです。これが唯一のものになるでしょう。ちなみにクォーツには存在していた。(アイルトン・セナ)が着けていた『S/el』ですね。でも機械式ではこれが初になる」

しかし、なぜヴォーシェのエボーシュをベースに、ラトラパンテを作ろうと思ったのか。タグ・ホイヤーにはキャリバー02 やTH20といった、優れた自社製ムーブメントが存在する。

「もっと深い理由があるのよ。私たちは高級時計のセグメントに戻ってこようと思った。であれば、品質は妥協したくないし、ベストなメーカーと働きたい。ノウハウもそうですね。結果として値段に反映された。でもコストは一切考えなかったのよ」

彼女の姿勢を示すのが、ムーブメントの装飾だ。機械的な仕上げを良しとするタグ・ホイヤーだが、今回は驚くほどの仕上げが施されている。しかし、あえて工業的にまとめてある。

「スイスのアータイムでムーブメントの装飾を行ったのです。パーツのひとつひとつに、30〜40時間をかけて手作業で磨き上げました」。担当したのは、同社のファブリス・デシャネルとステファン・マチュレル。超高級ブランドが頼む装飾メーカーに、あえて依頼したのもやはり、妥協したくないらだろう。「装飾に関して言うと、一番だと思いますよ」。彼女はあえてヴォーシェのエボーシュを選んだ理由に戻った。

「では私たちタグ・ホイヤーは、高級時計製造の世界で何をすべきなのか。作るべきは、スポーツシーンで使える高級時計だと思ったのです。ベースとなるムーブメントの振動数は5Hz(3万6000振動/時)で、緩急針のないフリースプラングテンプです。だからショックに強いし、等時性にも優れる。ムーブメントの受けと地板もチタン製だから軽い」

こういった試みは今回きりと思いきや、実は今後も用意されているようだ。「私たちはオートオルロジュリーの計画を考えています。それを担うのはモナコ、カレラ、そしてモンツァになります」。

ムーンスウォッチからミッション トゥ ザ スーパー ブルー ムーンフェイズが登場

昨日、スウォッチはミッション トゥ ザ スーパー ブルー ムーンフェイズを発表した。とても青い本モデルはいつものクロノグラフ機能に加え、今回はシルバーブルーのオパラインダイヤルと2時位置のインダイヤルに配置されたUVインクのムーンフェイズが特徴的だ。ムーンフェイズ表示は、青く光るUVインクで描かれている。時・分表示およびクロノグラフ秒針の先端にはもちろんスーパールミノバ®が使用され、こちらもブルーに発光する。

ブライトリング時計コピー 代金引換優良サイト新作はタキメーター機能の代わりにパルスメータースケールを備えたコレクション初のムーンスウォッチである。そのため“これは本当にムーンウォッチなのか?”という疑問が生じるかもしれない。それはコメントで確かめて欲しい。

バイオセラミック ムーンスウォッチ ミッション トゥ ザ スーパー ブルー ムーンは、8月1日から8月19日までという期間限定で発売する。これは満月のブルームーンと今年最初のスーパームーンの日付であり、また午後5時以降のブルーアワー中のみに販売される。すべてのバイオセラミック ムーンスウォッチコレクションと同様、ひとりにつき1日1本、選ばれた販売場所ごとに購入できる時計は1本のみである。

スウォッチはよく知られた芸術的な手法に立ち返り、ほかの多くの現代アーティスト(イヴ・クライン、ピカソ、ルイーズ・ブルジョワなど)が感情的な愛着を持つと主張する色に対する感性に訴えているのだろうか? それとも単に青が非常に人気のある色だからだろうか? 確かにブルーはムーンスウォッチのオリジナルシリーズでも人気が高く、とても手に入りにくいカラーバリエーションであった。

我々の考え
私はブルーに対する執着がある。ブルーに関する本を何冊も読み、アズレージョタイルを見るためだけにポルトのサンタ・カタリナ礼拝堂を訪れたこともあった。ラピスストーンのダイヤルについて話し始めたら止まらない。青は私にあらゆる感情を呼び起こす。だからこそ自分がムーンスウォッチ好きではないにもかかわらず、この新作は審美的に私の心に響いた。ムーンフェイズという最もロマンチックな複雑機構を加えつつ4万6200円(税込)という価格は、スウォッチのコラボ商品特有の入手困難さを考慮しても、なかなかのお買い得アイテムだ(手に入ることができればの話だが。スウォッチとのコラボはいつも苦労する)。

“ムーンスウォッチはいつまで続けられるのか”という疑問は、今や不要なものに思える。なぜならスウォッチが続けると言う限り(または月のインスピレーションが尽きるまで)終わらないことが明らかだからだ。8月の2週間という短い期間、しかも午後5時以降のブルーアワーに並ぶという詩的なアイデアは理解できるが、この盛り上がりの茶番は終わらせて、オンラインで販売することはできないのだろうか?

私は時計産業における民主主義を支持するが、そのためにこれほど努力する必要があるのだろうか? スウォッチよ、人々が望むものを提供して欲しい。ただ(ブルーという曲を持つ)エッフェル65を(ほかの人に迷惑をかけないようにヘッドフォンで)爆音で流しながらポジティブな気分で締めくくろう。この時計は非常に商業的に成功したテーマの楽しいバリエーションである。黒と白のスヌーピーに加えて、バイオセラミックに関しては少し洗練され始めているような気がしてならない。

swatch moonswatch
基本情報
ブランド: スウォッチ(Swatch)
モデル名: ミッション トゥ ザ スーパー ブルー ムーンフェイズ(Mission To The Super Blue Moonphase)
型番: SO33N700

直径: 42mm
厚さ: 13.75mm
ラグからラグまで: 47.3mm
ケース素材: ブルーバイオセラミック
文字盤: ブルー&シルバーオパライン
夜光: あり、インデックスと時分針とクロノグラフ秒針にスーパールミノバ®
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: ベルクロストラップ

ムーブメント情報
キャリバー: クォーツ
機能: 時・分表示、スモールセコンド、クロノグラフ、ムーンフェイズ

価格 & 発売時期
価格: 4万6200円(税込)
発売時期: 2024年8月1日から8月19日の午後5時以降のあいだ、世界各地にある特定のスウォッチ販売場所でのみ購入可能

最も影響力がある独立時計師のひとり、

30年前、カリ・ヴティライネン(Kari Voutilainen)氏はその後のキャリアを変えてしまうことになる長い道のりへの第1歩を踏み出した。(少なくとも私たちの業界的には)あらゆる素晴らしい物語の始まりがそうであるように、そこには懐中時計があった。1990年から1999年までミシェル・パルミジャーニ(Michel Parmigiani)氏の修復工房で働いていたヴティライネン氏は、その勤務時間外で自身初の時計制作に取り組んでいた。このプロジェクトには3年を要したが、1994年までにヴティライネン氏はアブラアン-ルイ・ブレゲ(Abraham-Louis Breguet)のスタイルを取り入れたワンミニッツ・トゥールビヨン・ポケットウォッチを完成させた。その10年後にヴティライネン氏は、自身の名を冠したブランドで初の時計を発表している。そして今年、ブランドは20周年記念モデルとしてその集大成となるワンミニッツ・トゥールビヨンの腕時計を発表した。

この時計に関する報道は間違いなく、遅きに失した感がある。20周年記念のトゥールビヨンシリーズは4月に発表されていたのだが、残念なことにその他多くの独立系ブランドの発表と同様に、Watches & Wondersのコマーシャルリリースの圧力で埋もれてしまった。今回のシリーズはこれまでとはまったく異なるものである。シリーズは合計61本からなり、内訳はプラチナ製が20本、ホワイトゴールド製が20本、ローズゴールド製が20本でステンレススティール(SS)製が1本だ。価格は27万5000スイスフラン(ローズゴールド、日本円で約4750万円)から27万8000スイスフラン(ホワイトゴールドまたはプラチナ、日本円で約4800万円)である。ダイヤルデザインはヴティライネン氏によるオリジナルのトゥールビヨン・ポケットウォッチに基づいており、魅力的なオフセンター表示を特徴としている。

ヴティライネンブランド初の時計、ウブロスーパーコピー代引き 口コミ第1位ワンミニッツ・トゥールビヨン搭載の懐中時計。Photo: courtesy

過去20年間においてヴティライネン氏は素晴らしいダイヤルワークだけでなく、複雑機構に関する卓越した技術とそれを実現する独自のスタイルで名を馳せてきた。パーペチュアルカレンダーにミニッツリピーター、クロノグラフなど、これまでに彼はほぼすべての複雑機構を手がけている。彼の“28TI”はムーブメントを反転させてダイヤル側に配置することで、彼のムーブメントに対する哲学を顕著に表現したモデルだ。しかしトゥールビヨンこそが彼と彼のキャリアを最も象徴するものであり、20周年記念モデルは彼という人物そのものを時計の形に凝縮した最高の作品であると断言できるだろう。

私は手作業でギヨシェを施したプラチナ製のブルーダイヤルモデル(シルバー無垢のダイヤルベースがアクセントとして効いている)と、クリーミーな白いダイヤルに赤いアクセントを取り入れたSS製(ユニークピースだ)モデルのふたつの実機を手に取ってみた。ブルーダイヤルの色調やホワイトダイヤルのギヨシェなど、それぞれのモデルで気に入った要素を見つけられた。そしてその他ほとんどのヴティライネンブランドの時計と同様に、幸運にも購入者はこれらのポイントをカスタマイズすることができる。

このシステムは一長一短だ。カリ氏は自分で設計・製作する部品やダイヤルに対して非常に優れた審美眼を持っているが、正直なところ顧客側がその意図を十分に汲み取れないこともしばしばある。30万ドル(日本円で約4570万円)もの金額を払って時計を買う人は美観においてある程度決定権を持つべきだというカリ氏の考えには敬意を表するが、線引きは必要だと思う。すまない、話が逸れた。

ヴティライネンのダイヤルは多くの人々に愛されているが、私にとってはムーブメントがすべてであり、この時計も例外ではない。今作には彼の最初の懐中時計に搭載されていたムーブメント構造に触発されたまったく新しい手巻き式トゥールビヨンムーブメント、22が搭載されている。ツインバレルと72時間のパワーリザーブを持ち、ワンミニッツ・トゥールビヨンは1万8000振動/時で動作する。ムーブメントの構造は完全に一致しているわけではなく、(このほかにもあるがたとえば)巻き上げリューズが一般的な腕時計と同じ3時位置に移動するなどの変更が施されている。

ヴティライネン氏が手がけた初の時計、ワンミニッツ・トゥールビヨン・ポケットウォッチ。Photo courtesy Kari Voutilainen.

仕上げはいつもどおり完璧であり、トゥールビヨンにはフィリップスターミナルカーブとグロスマンインターナルカーブを持つヘアスプリングなど追加の工夫が施されている。ムーブメントにはヴティライネン氏の名前が手彫りされており、立体的な面取り(アングラージュ)とグレイン仕上げおよび金メッキがあしらわれたプレート表面とのコントラストも際立っている。時計そのものの厚さは13mmであり、これにはこのブランドが古典的なブリッジ構造を好み、接着剤を使わずに部品をネジでのみ固定していることが関係する。ネジが何回転かしたぐらいではプレートから外れないようにするために、各パーツに十分な厚みが必要なのだ。

次に、この時計を昨今のヴティライネンブランドのリリースから一線を画する特別なものにしている要素について話をしよう。ヴティライネンの時計によく見られるティアドロップ型のラグを使用する代わりに、この20周年記念のトゥールビヨンモデルにはストレートラグが採用されており、さらにケースの側面にはローレットパターンを施すことでオリジナルの懐中時計を踏襲しようとしている。しかしヴィシェ(Vichet)製ケースなどに見られる細長いラグを模倣するのではなく、ラグは比較的短く、先端は丸みを帯びている。

オリジナルの懐中時計とは異なり、スモールセコンド表示は6時ではなく5時あたりにオフセットされた。シンメトリーさは少し損なわれているが、時間表示の配置が少し上めであることを考慮するとバランスはとれている。またパワーリザーブ表示もダイヤルの8時30分あたりに移動した。これは微妙な違いだが、オリジナルの懐中時計同様にきちんと機能している。 

購入希望者がこの時計のサイズ(もう1度書いておくが、直径40mm×厚さ13mm)について懸念を抱くであろうことは想像に難くない。しかし手首に装着すると、独立系時計ブランドによる魅力的でつけ心地に優れる1本であることが分かる。特にSS製のユニークピースは軽量さからより快適に感じられるだろうが、多少重量感があるからといってそこに不満を抱く人はいないだろう。ムーブメント自体ががっしりとしており、それもまた重さの一因となっている。

ダイヤルについてもう少しだけ触れておきたい。ヴティライネン氏と彼のチームが手作業でギヨシェを施したダイヤルには、いつも感心させられる。彼が率いるコンブレマイン社のおかげで、20年前では考えられなかったような職人技を目にすることができるようになった。だが、彼自身の時計にはほかとは違うなんとも言い難い魅力がある。

特に気に入った素晴らしいディテールのひとつに、SS製パーツであしらわれた数字がある。深みのある漆黒と立体感は、驚くべきクオリティだ。このディテールはいつか自分の時計を注文するときに取り入れるべく(それはほとんどありえないことだが)覚えておきたい。

このような時計、特にこの価格帯のものについて言えることは限られている。これらの時計はおそらく、すでにヴティライネンブランドの時計が多数並ぶ家庭やウォッチボックスに収まるだろう。そのため、価格や20周年記念トゥールビヨンの開発でなされた個々の決断をわざわざ正当化する必要を私は感じていない。ただただ、美しいのひと言だ。

そしてまた彼のこれまでのキャリアを讃えるにふさわしい作品だと思う。しかしヴティライネン氏の時計には、ダイヤルの素晴らしさだけでなく、全体を完璧にまとめあげている何か言葉では表せない要素がある。ほかの誰かが彼を模倣しようとしたり、彼の時計の価値を押し上げている個々のパーツ(例えば、手作業によるギヨシェ彫りのダイヤルなど)を取り入れて独自の美観を築こうともがく一方で、作品の全体像を正しく把握して形にする彼の能力には計り知れない魅力があるのだ。

Kari Voutilainen's 20th Anniversary Tourbillon
カリ・ヴティライネン 20周年記念トゥールビヨン(Tourbillon 20th Anniversary)。直径40mm、厚さ13mmのWGケース(PtとRGのオプションもあり)。手作業でギヨシェが施されたシルバーのダイヤル(ギヨシェのパターンと色味は個別リクエストに応じる)。研磨で柔らかな曲面を出したSS製の針。時・分表示、スモールセコンド、パワーリザーブ、トゥールビヨン。ヴティライネン製手巻きトゥールビヨンムーブメント22、28石、グレイン加工と金メッキ仕上げ。ダブルバレルの搭載でパワーリザーブは72時間。ワンミニッツ・トゥールビヨンは1万8000振動/時で駆動し、フィリップスターミナルカーブとグロスマンインターナルカーブを持つヒゲゼンマイを装備。製造本数はPt製20本、WG製20本、RG製20本、SS製1本の合計61本。価格: ローズゴールドは27万5000スイスフラン(日本円で約4750万円)、WGまたはPtが27万8000スイスフラン(日本円で約4800万円)。

タイメックス Q タイメックス 1975 エニグマ

1970年代にかけてデザイン運動にまで発展した、未来的な想像力を引き出すポストスペースエイジデザインにはとりわけクールなものがある。これらのデザインは非常に独特で、ときにはひと目でわかるほど不必要かつ時代錯誤的な特徴を持っている。そして今日、タイメックスはそのデザインのひとつを復活させた。それが新しいQ タイメックス 1975 エニグマ リイシューである。これは特定の完璧な条件下において、時刻表示が文字盤上に浮かんでいるように見える時計だ。

Timex Enigma
パネライスーパーコピー代引き 激安これは199ドル(日本円で約3万円)の新しいクォーツ(“Q”の由来)ウォッチで、時・分・秒表示に加えて曜日・日付表示を備えている。これらすべてがヴィンテージサイズの37mmステンレススティールケースに収められている。本作にはSS製ブレスレットとレトロな雰囲気を演出するドーム型アクリル風防がセットされている。しかし、本当の“トリック”は視覚的なものだ。ダイヤルはダークネイビーブルーで、針の大部分も同様の色であり、時針と分針の先端が白く、秒針には赤いドットが描かれている。さらにタイメックスは、風防の裏側に文字盤と同じブルーのドットを塗装し、センターポストを隠している。適切な光の下(特に影のなか)で時計を見ると、針がどこにも取り付けられることなく浮かんで動く“ミステリーダイヤル”のように見えるはずだ。このモデルは現在販売中で、限定版ではない。

我々の考え
ミステリーダイヤルはさまざまな形やサイズがあり、多くの場合きわめて複雑である。最近、フィリップスのオークションで販売された希少なカルティエのミステリークロックを取り上げたが、これらは非常にいい結果を出した。このような時計は通常、ベースに歯車が隠されていることが多く、その歯車をダイヤルで埋めるように2枚のディスクで回転させることで、ムーブメントが存在しないような錯覚を与えている。現代にも同様のデザインがあり、たとえばカルティエのマス ミステリユーズがそれにあたる。ただ1975年当時、タイメックスがすでにセンターポストでブルーのドットを隠すという、はるかにシンプルな方法を見つけていたとは知らなかった。

Timex Enigma
楽しくてクリエイティブだが、同じ効果は期待しないほうがよい。角度によっては針やダイヤルポストが見えてしまうことがある。パテックの5330G ワールドタイムの日付表示も同様の浮遊効果を持つが、特定の角度では見えてしまう。しかし、今回は手ごろな価格で楽しめるリイシュー(復刻)であり、タイメックスがQラインでさまざまな楽しい試みをしているのを見るのは素晴らしいことに変わりはない。

基本情報
ブランド: タイメックス(Timex)
モデル名: Q タイメックス 1975 エニグマ リイシュー(Q Timex 1975 Enigma Reissue)

直径: 37mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: ネイビーブルー
インデックス: 時・分は見返しリングに表示され、“フローティング”針で示す
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: SSブレスレット

Timex Engima
ムーブメント情報
キャリバー: クォーツ
機能: 時・分表示、センターセコンド、曜日・日付表示

価格 & 発売時期
価格: 199ドル(日本円で約3万円)
発売時期: 発売中
限定: なし

レジェップ・レジェピから始まった5本限定シリーズの第2弾であるこの時計は、

タイのプーケットにて、ジャン・アルノー(Jean Arnaul)氏指揮のもと、ルイ・ヴィトンは現代を代表する独立時計師たちとの5部構成のコラボレーションの第2弾となる時計を発表した。今回ルイ・ヴィトンがタッグを組んだのはカリ・ヴティライネンで、ウォッチメイキングの技術と芸術性を融合させた作品に仕上がっている。その名もLVKV-02 GMR 6。ダイレクトインパルス式のデュアル脱進機を備えたGMTであり、ラ・ファブリク・デ・アール ルイ・ヴィトン(La Fabrique des Arts Louis Vuitton)の職人によるミニアチュール彩絵エナメル装飾と、ヴティライネンの工房による手仕上げのギヨシェ装飾が特徴だ。ケース素材にはタンタルとプラチナを組み合わせている。ブランドはこの時計を、シンプルにLVoutilainen(ルヴティライネン)と呼んでいる。

LV x Kari Voutilainen Watch
ルイ・ヴィトンとレジェップ・レジェピによるLVRR-01 クロノグラフ ア ソヌリでこのシリーズが幕を開けてから、1年半が経過した。今年1月、LVMH Watch Weekに際し、再編成されたルイ・ヴィトンが本格的にハイエンドウォッチブランドとしての地位を確立した瞬間だと述べたばかりである。しかしラ・ファブリク・デュ・タン(LFdT)は、レジェピとのコラボレーションに限らず複雑なオートマトンウォッチなどを通じて、すでに長きにわたりハイエンドな時計製造を実践してきた。

LVRR-01 Chronograph
こちらは、スーパーコピー時計ブランドLVRR-01の発表時にお届けしたレポートから引用した。

 LVRR-01 クロノグラフ ア ソヌリはきわめて多機能かつ特異なハイブリッドモデルであった。限定本数は10本、価格は45万スイスフラン(日本円で約7600万円)。セミスケルトン仕様で両面に表示を持ち、トゥールビヨンによって調速されるソヌリ・オ・パッサージュ・デ・ミニュット・ドゥ・クロノグラフ(拙いフランス語が正しければ)、つまりクロノグラフ作動中に経過する各分をチャイムで知らせる機構を備えている。ムーブメントはツインバレルで駆動し、ケースはジャン-ピエール・ハグマン(Jean-Pierre Hagmann)が設計したタンブールに着想を得た39.5mm×11.9mmサイズを採用している。表側にはスモークサファイアを用いた表示が配されており、これはブランドのスピン・タイムモデルからインスピレーションを得たもの。一方で裏側は、より伝統的なディスプレイでクロノグラフ機能が表示される。

Jean Arnault
The trunk
The trunk
 今回発表されたウォッチコンセプトは、伝説的な時計師の技術を最大限に引き出すという点で変わっていない。しかしこの1年半で、ルイ・ヴィトンのラ・ファブリク・デュ・タンを取り巻く環境には大きな変化があった。再始動したダニエル・ロートとジェラルド・ジェンタのブランドはすでに本格的に動き出しており、タンブールもスティール、貴金属、セラミックといった多彩な素材を用いた完全なコレクションラインへと進化した。そこにはタンブール コンバージェンスや、きわめて複雑なタンブール・タイコ・スピン・タイムといったサブカテゴリも含まれる。ルイ・ヴィトン全体の売上における時計部門の比率はごくわずかであるため、ジャン・アルノー氏はリスクを取り、大胆な挑戦を行う自由を手にしているのだ。

LVoutilainen
 今回のコラボレーション相手は、私が時計作品のみならずそのビジネス感覚や人柄においても深く敬愛している時計師、カリ・ヴティライネン(Kari Voutilainen)氏である。彼は年間製造本数が100本未満という小規模な独立時計師でありながら、ケースやダイヤルなども手がける複数の会社を擁するブランドへと成長させてきた。昨年にはGPHGでの受賞や、自身初のトゥールビヨンへの20周年オマージュ作品の発表など華々しい活躍を見せたばかりだが、2025年はさらに飛躍の年となる可能性がある。というのもヴティライネン氏が共同CEOを務める人気ブランド、ウルバン・ヤーゲンセンの再始動が今年半ばに予定されているからだ。

 ヴティライネン氏は、伝統的でありながら卓越したウォッチメイキング技術で知られる存在となっている。彼の時計は現在でもやや厚みのある地板やブリッジを採用しており、これによりほかメーカーが接着剤を用いるような箇所でもすべてネジでパーツを固定できる。これによって、数百年先まで整備が可能な時計を実現しているのだ。また、傘下企業であるコンブレマイン社(Comblémine SA)を通じて、ダイヤル製作においても確固たる地位を築いており、数多くのブランドや独立時計師たちにダイヤルを供給する柱的存在となっている。その一方で、KV20iのようにダイヤル自体を廃した作品も手がけており、表裏反転という“インバース/リバース”コンセプトも、彼のブランドにおけるもうひとつの柱となっている。

Kari Voutilainen KV20i
 ヴティライネン氏が複雑機構の真の達人であるという事実を、時計愛好家の新参者たちはまだ十分に理解していないのではないかと思う。ミニッツリピーターパーペチュアルカレンダーのような1点物や、わずか数本しか存在しないミニッツリピーターGMTなど、まさに夢のような時計を手がけてきたのだ。ルイ・ヴィトンとの次なるコラボレーションがヴティライネンだと聞いたとき、平凡な時計になるはずがないとは思っていた。しかし自分が見落としていた最大の要素は、芸術性だった。

 LVKV-02 GMR 6はその名が示すとおり、本質的にはGMTウォッチである(“GM”がそれを示している)。一見するとシンプルに思えるかもしれないが、それはカリ・ヴティライネンが手がけるGMTに限っての話ではない。今回のモデルは、ルイ・ヴィトンのトランク製造の歴史(世界を旅する人々のためのラゲージ)へのオマージュというコンセプトに基づいている。“R”は12時位置に配されたレトログラード式パワーリザーブインジケーターを意味し、“6”はダイヤル上にある24時間表示のGMTインダイヤルの位置(6時)を指している。

LV x Kari Voutilainen Watch
 GMTディスクは24時間で1回転し、着用者の“ホームタイム”を表示するように設定される。一方で時針は、旅先でのローカルタイムを示すために独立して調整可能であり、これはリューズを押すことで簡単に操作できる仕組みとなっている(この操作により巻き芯とGMT機構が連動して作動する)。カリ・ヴティライネンはこれまでにも、GMRやGMT-6といったGMT機能搭載モデルを手がけてきたが、それらはGMTインダイヤルのほうを調整する仕様であった。今回のモデルではその方式が逆転しており、時針を調整する新たなバリエーションとなっている。これは完全新設計のキャリバーを搭載したレジェップ・レジェピ LVRR-01とは対照的だ。今回のLVKV-02 GMR 6におけるコストの大部分は、ラ・ファブリク・デュ・タンとヴティライネン氏による手仕事の装飾工芸にある。とはいえまずは時計全体の構成を見ていこう。

 GMTウォッチにふさわしく、本作には“エスカル”ケース(フランス語で寄港地、経由地の意)が採用されている。ケース素材はタンタルで、サイズは40.5mm×12.54mm。ベゼル、裏蓋、ラグ、リューズ、バックルにはプラチナが用いられている。各ラグの仕上げには約1時間を要し、まずはカブロナージュ(紙やすりをスティックにしたもの)によって整形し、そのあとポリッシュとエッジ出し(研ぎ)が行われる。さらにタンタル製ケースは手作業によるサテン仕上げで、これに追加で4時間がかかる。裏蓋には“Louis cruises with Kari(ルイはカリと旅をする)”というフレーズが刻まれており、この彫刻には12時間を要するという。この刻印は独立時計師との本シリーズにおける共通タイトルとなっている。

LV x Kari Voutilainen Watch
LV x Kari Voutilainen Watch
LV x Kari Voutilainen Watch
 リューズボタンによるGMTという機能的な特徴に加え、このムーブメントはほかのヴティライネン作品と同様に、高度に洗練された技術仕様を備えている。2011年以降ヴティライネン氏が採用しているように、本作にも大型のテンプと、外側にフィリップスオーバーコイル、内側にグロスマンカーブを持つヒゲゼンマイが用いられている。これによりヒゲゼンマイの内側と外側の曲率に等しい張力を与えることができ、最高レベルの精度を実現している。さらにこの時計ではふたつの脱進輪が、止め石を介して直接テンプにインパルスを与えるダイレクトインパルス方式が採用されている。これはスイスレバー脱進機よりも効率的かつ安定的に動作するよう設計されており、1時間あたり1万8000振動/時で作動、パワーリザーブは約65時間に向上している。地板とブリッジにはジャーマンシルバー(洋銀)が使われており、ムーブメントを構成する254個すべてのパーツが極限までていねいに仕上げられている。

LV x Kari Voutilainen Watch
LV x Kari Voutilainen Watch
LV x Kari Voutilainen Watch
 ムーブメント側(ヴティライネン作品において常に個人的なお気に入りポイントのひとつ)はダイヤル側への流れとしても絶好の導入部である。なぜなら前面と背面をつなぐ、精緻なエナメル装飾がそこに共通して存在しているからだ。香箱にはラ・ファブリク・デ・アール ルイ・ヴィトン(ラ・ファブリク・デュ・タンのメティエ・ダール部門)所属の職人マリナ・ボッシー(Maryna Bossy)氏による多色のミニアチュール彩絵が施されている。素材はホワイトゴールド製のラチェットアップリケで、27色を描くのに16時間、焼成は5回に分けて行い、合計8時間にもおよぶ。

LV x Kari Voutilainen Watch
 ダイヤル正面には、ルイ・ヴィトンとカリ・ヴティライネンという両ブランドのダイヤル製作アトリエが持つ最高峰の技術が、ほぼすべて投入されている。マリナ・ボッシー氏はミニアチュール彩絵とダイヤモンドポリッシュが施されたアワーサークルを担当。デザインは古代のステンドグラスに着想を得たもので、28色を用い、1本あたり32時間をかけて描かれている。ゴールド製のダイヤル中央にはヴティライネン氏の工房による手仕上げのギヨシェ装飾が施されており、これはルイ・ヴィトンの“ダミエ”モチーフへのオマージュである。使用されたのは18世紀にさかのぼるギヨシェ機械で、ヴティライネン氏によれば完成までに4日間を要したという。

LV x Kari Voutilainen Watch
 ヴティライネン氏のアトリエはまた、GMTインダイヤルに配されたデイ・ナイト表示用の太陽と月のモチーフも手がけている。このインダイヤルは手彫りによる装飾が施されており、ルイ・ヴィトンを象徴するサフランとブルーのカラースキームで彩られている。さらに微妙なグラデーションのなかには、ルイ・ヴィトンのモノグラム・フラワーのシェイプがさりげなく隠されている。最後の“ルイ・ヴィトンらしい仕上げ”として、ブランドはダイヤルとムーブメントの両方にLVロゴとヴティライネン氏の姓の頭文字“K”を組み合わせたモノグラムを配している。LVRR-01と同様に、各時計には特注のルイ・ヴィトン製トラベルトランクが付属し、ダイヤルのモチーフやシリアルナンバー、そして“Louis cruises with Kari”のフレーズが、ルイ・ヴィトンの職人によってハンドペイントされている。

LV x Kari Voutilainen Watch
LV x Kari Voutilainen Watch
LV x Kari Voutilainen Watch
 LVKV-02 GMR 6は5本限定(加えてプロトタイプが2本)で、価格は55万ユーロ(日本円で約8900万円)。これはレジェピとのコラボであるLVRR-01より高額だが、製造本数はその半分となっている。レジェピとのコラボレーション第1号機は現在、最終的な品質チェックの段階にあり、今後10カ月にわたって月1本ペースで納品される予定である。一方でLVKV-02に関しては、すべての個体がすでに製造済みであり、すぐにクライアントへの引き渡しが可能となっている。

Raul Pages Watch
ラウル・パジェスのレギュラトゥール・ア・デタントRP1(左)とソバリー・オニキス(右)。ソバリー・オニキスは10本限定で製作された。こちらの写真は2022年に掲載したパジェス特集記事より抜粋したもの。Photo by James Kong/@waitlisted.

 カリ・ヴティライネンは、ルイ・ヴィトン ウォッチ プライズ フォー インディペンデント クリエイティブズの審査委員会メンバーを務めている。このコラボレーションによる収益は、独立時計製造の支援および同賞の運営資金として充てられるそうだ。昨年の受賞者はラウル・パジェス(Raùl Pagès)氏で、彼はルイ・ヴィトンのラ・ファブリク・デュ・タンによる1年間のメンタープログラムと金銭的賞与を受け取った。ジャン・アルノー氏によるとこれらのコラボレーション企画の根本的な目的は、この賞を支援することにあるという。

 ある意味自分でも信じられないのだが、次なるコラボレーションの予想として、“マスターピース”シリーズの新作や、GMTリピーターのインバースモデルなどを挙げていながら、いま思えばあまりにも自然で明白だったこの展開を見逃していた。ヴティライネン氏は以前から、日本人アーティスト・北村辰夫氏とたびたびコラボレーションを行っており、エナメル技法を駆使した傑出した作品を数多く生み出してきた。そのなかには2022年のGPHGにてアーティスティック クラフト部門を受賞したジーク ワールドタイマーや、ムーブメント側にエナメル装飾を施したヒスイといった名作も含まれている。

 “ただの綺麗なダイヤルにしては高すぎる”という声があるかもしれないし、その指摘が間違っているとは言えない。ただもっと大きな視点で捉える価値がある。ヴティライネン氏に、“4層構造で繊細かつ手間のかかるダイヤルを、シャネルJ12スーパーコピーふたつのアトリエのアーティストたちで共同製作するというプロセスはどのようなものだったか?”と尋ねたところ、彼は眉を上げ、唇からため息交じりの息を少し漏らした。というのも各パーツを輸送したり、組み合わせたりするたびに、何かがうまくいかなくなる可能性がつきまとうからだ。最終的に完成した5枚のダイヤルを仕上げるために、どれほどの失敗があったのか...その歩留まりについては誰も教えてくれなかったし、自分も知りたいとは思わなかった。

Louis Vuitton Voutilainen
 この時計には、ルイ・ヴィトンが得意とする遊び心が随所に宿っていると感じる。もちろん、遊び心と55万ユーロ(日本円で約8900万円)という価格は通常なかなか結びつかないものだが、それでもこの時計を手にするであろう人々にとっては多くの楽しみを見出せる一作であるに違いない。

 ジャン・アルノー氏率いるラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトンのチームは、このシリーズの最初の2作で、すでに極めて高い基準を打ち立ててしまった。今後誰が続くのか、平均50万ドル(日本円で約7500万円)の価格帯を維持できるだけのスター性を持つ人物を想像するのは難しいが、頭のなかにはいくつかの有力な名前が浮かんでいる。願わくば、次の発表まであと1年ほどで済むことを期待したい。

ブランパンのハイエンドウォッチが重要な役割を果たす

この野心あふれるポストアポカリプスのスリラー映画にて、ブランパンのハイエンドモデルが技術の粋を凝らしたタイムピースとして、そして物語の鍵を握る神秘的なアーティファクトとして強烈な存在感を放っている。

「ロスト・ランドを知っている案内人を探しているの。とてつもない力を秘めた宝を見つけるために」。 『イン・ザ・ロスト・ランズ(原題:In The Lost Lands、なお日本での公開は未定)』の予告編のなかで、このセリフとともに、ほんの一瞬、霧に包まれた幻想的な時計の姿が映る。この時点でHODINKEEの読者なら、思わず一時停止ボタンを押すに違いない。もしその時計がブランパン ヴィルレのオープンワークモデルだと気づいたなら、その慧眼に10点を贈りたい。このセリフを発しているのは、魅力あふれるミラ・ジョヴォヴィッチ(Milla Jovovich)。そこから2分19秒にわたる、濃密なアクション映画の世界が幕を開ける。

パテックフィリップスーパーコピー 代引き予告編に登場するキャッチコピーが語るのは、とてつもない魔力を持ち、人を狼男に変身させるアーティファクトを求めてロスト・ランドを旅する魔女の物語だ。火を噴く2丁の拳銃を手に、ドクロに膝まで埋まりながら立つデイヴ・バウティスタ。その背後にはミラ・ジョヴォヴィッチの姿...そんなポスター画像とあわせて見れば、本作がポール・W・S・アンダーソン(Paul W.S. Anderson)監督によるアドレナリン満載のアクション映画であることが期待される。アンダーソンは『エイリアンVSプレデター(原題:Alien vs. Predator)』や大ヒットした『バイオハザード(原題:Resident Evil)』シリーズなどで知られる、多作なアクション映画監督だ。だがきわめて複雑なブランパンのヴィルレが、ジョージ・R・R・マーティン(George R.R. Martin)の終末世界にどうして登場したのか? その意外性には驚かされる。

Blancpain "In The Lost Lands"
Image credit Dennis Berardi / Herne Hill.

裏話

短い予告編を見れば、ブランパン ヴィルレ カルーセル レペティション ミニッツ クロノグラフ フライバックが魔法の護符として登場するという、意外で入念に選ばれたチョイスに驚かされるかもしれない。この時計がなぜ映画に採用されたのか、その理由をポール・W・S・アンダーソン監督と共同プロデューサーのデニス・ベラルディ(Dennis Beradi)に聞いた。

ブランパンの時計をキャスティングした理由について、アンダーソン監督はこう語る。「俳優を選ぶように、役にふさわしい時計を選んだんです。プロデューサーのジェレミー・ボルト(Jeremy Bolt)は筋金入りの時計愛好家で、時代を超越した魔法のような雰囲気のある時計の写真をこれでもかというほど送ってくれました。この映画はポストアポカリプスの世界が舞台ですが、かつての世界から残ったモノたちは、神秘的な価値を帯びて非常に貴重な存在になっています。人々がもう時計を身につけなくなり、大聖堂の鐘の音で時を知るという中世的な世界において、それでもそこにあるタイムピースなのです」

Blancpain "In The Lost Lands"
Image credit: Vertical Entertainment for In The Lost Lands and Blancpain.

ポールはこう続ける。「ブランパンを見つけたとき、それが理にかなっていると思ったんです。世界最古の時計ブランドであり、アポカリプス後の世界で生き残った数少ないタイムピースのひとつですから。ブランパンは時の始まりに存在し、時代の終焉においてもなお時を告げている。そういう意味でも、この作品のテーマにぴったりだったんです」

映画やレッドカーペットでよく見かける時計とは違い、これは広告のためのプロダクトプレイスメント(広告手法のひとつ)ではなかった。「ブランパンは私たちを信頼してくれましたし、私たちがブランドとその精神をきちんと理解していることを認めてくれました。ですから、こちらの思いとおりに映画に登場させることができ、芸術的なビジョンが商業的な縛りに損なわれることはなかったんです。その点で、決まったルールは何もなく、私たちにとって理想的なパートナーシップでした」とポールは語る。

デジタル化の課題

7488万8000円(税込)というブランパン ヴィルレ カルーセル レペティション ミニッツ クロノグラフ フライバックは、マイクロエンジニアリングの粋を極めた傑作だ。登場シーンは多くないが、ポールはこの時計を“時計界のトム・クルーズ”と呼んでいる。専属の警備がついていたほどで、その存在感はまさにスター級だった。共同プロデューサーのデニス・ベラディによれば、このきわめて複雑な時計をデジタル化するには数々の困難があったという。

「ブランパンの製造図面は機密扱いで、通常の設計図を使うことはできませんでした。そこでブランパンが、実物のカルーセル レペティションをスキャンさせてくれたんですが、通常のスキャナーにマクロ仕様の改良を加えて対応しました。解像度は通常の3倍、1画像あたり約5万ピクセルで、300枚以上を撮影。非常に繊細なテクスチャーを再現するために、ひたすら細心の注意を払いながら取り組みました。時計内部で光がどう反射し、動くのか。その表現には照明の研究も必要でありアニメーションにおいても、ポールが描く“空中で回転しながら動く時計”のイメージを忠実に再現するために尽力しました。このプロジェクトは、ただの映像制作ではなくまさにひとつの使命でした。私たちはこの時計をリスペクトし、誰にも“デジタルに見えた”と思われたくなかった。フォトリアルに見えることが絶対条件でした。そして、それは実現できたと思います。満足いく完成形に至るまでおよそ5カ月かかりました」

Blancpain "In The Lost Lands"
Image credit Dennis Berardi / Herne Hill.

Blancpain "In The Lost Lands"
Image credit Dennis Berardi / Herne Hill.

Blancpain "In The Lost Lands"
Image credit Dennis Berardi / Herne Hill.

これがどれほどの手間だったかをお伝えしよう。ポール・W・S・アンダーソン監督は、ブランパンのCGIによるメインショットのひとつに、女優のミラ・ジョヴォヴィッチも登場させたかったと語っている。「予告編に、雨のなか時計がこちらに向かって転がり落ちてくるショットがありますよね。あれこそデニスが5カ月かけて制作したブランパンのデジタルモデルです。そのカットの制作も終盤になったころ、私は“背景にミラを入れよう”と思いついたんです。でも彼女の映像素材がなかったので、デニスがCGIでミラの姿を再現することになりました。それにかかったのはおよそ1週間。つまり映画スターは1週間、時計は5カ月ということですね」

ブランパン ヴィルレ カルーセル レペティション ミニッツ クロノグラフ フライバック

ブランパンコレクションのなかでも、ヴィルレのラインはとりわけ伝統的なリファレンスがそろっており、そのルーツは19世紀の懐中時計にまでさかのぼる。なかでもカルーセルRMCF(レペティション ミニッツ クロノグラフ フライバック)は、45mmのケースに語るべき魅力を多く詰め込んだ1本だ。ただし厚さ17.8mmとはいえ、デイヴ・バウティスタ(Dave Bautista)の筋骨隆々の手首に乗せたら、まるで華奢なドレスウォッチに見えてしまうかもしれない。もっとも、これは毎日のローテーションでつけるような時計ではない。だからこそ日々の装着感はさほど重要ではないのだ。なにしろ価格は約7500万円。この時計の持ち主であれば、おそらく左袖のカフだけ径を広げた仕立てのスーツを用意しているだろう。

Blancpain "In The Lost Lands"
Image credit Dennis Berardi / Herne Hill.

技術面で見れば、このブランパンは同ブランドのなかでも製造難度の高いモデルのひとつであり、10年以上にわたってその最上級ラインに君臨してきた。私の知る限り、これほど複雑な機能を組み合わせたモデルをほかのブランドは製造しておらず、なかでもトゥールビヨンのように構成されたカルーセルはきわめて希少だ。カルーセルもトゥールビヨンと同様に重力の影響を打ち消すために発明されたが、トゥールビヨンがひとつの動力でケージと脱進機を動かすのに対し、カルーセルではそれぞれに別の動力源が使われている。6時位置で舞うこの“プリマ・バレリーナ”は、ブランパンの魅力のほんの一部にすぎない。カルーセルRMCFには、フライバッククロノグラフ用の心地よい楕円形プッシャー、愛嬌ある赤い先端のクロノ針、そして8時30分位置の控えめなスライダーで作動するミニッツリピーターが奏でる音の魔法までもが備わっているのだ。

グラン・フー・エナメルの柔らかな光沢と、シャープなローマ数字が配された広いアウターリングに時間が表示され、センターのオープンワークから覗く精緻なメカニズムをクラシカルな様式美が包み込む。我々の多くにとって、45mmものレッドゴールドの塊は平均的な手首にはやや大振りに感じられるかもしれない。しかしこの時計が放つ圧巻の存在感にはそれだけの価値がある。ブランパンの時計師とフィニッシャーたちの手腕は、スケルトン仕様の裏蓋をとおしてさらに明らかになる。543個のパーツからなるCal.2358の厚みや立体構造を、そこからじっくりと感じ取ることができるだろう。ローターの下には段差を設けたブリッジが幾層にも組まれ、そのすべてに彫り込まれたサンレイパターンのギヨシェが、内部に潜む複雑さをいっそう際立たせている。

Blancpain
Image credit: Blancpain.

時計が持つタリスマン的な力

ブランパン ヴィルレ カルーセル レペティション ミニッツ クロノグラフ フライバックに宿る伝統的な職人技は、一見するとポストアポカリプスのアクション映画とは相容れないように見える。だが、その“お守り”のような存在感は物語のなかに自然と溶け込み、時計がもたらすより深い意味を際立たせている。この作品の前提にあるのは、ある種の“グレイルウォッチ”が我々の心をどれほど強く引きつけるか、そして幸運な数人にしか味わえない魔法のような体験が、そこに宿っているということ。何百時間にもおよぶ職人技の結晶に引かれる人もいれば、代々受け継がれた時計に宿る思いに心動かされる人もいるだろう。時計は、単に時を刻む以上の存在であり、深い感情を映し出す“タリスマン”なのだ。

Talking to the director and producer of 'In The Lost Lands,' I draw parallels to the pursuit of grail watches and ask Paul W.S. Anderson how Blancpain's movie role touches on this: "This is a Quest movie. It's about Milla and Dave's characters, a witch an
Image credit: Vertical Entertainment for In The Lost Lands.

パテックフィリップ時計コピー 代引き映画『イン・ザ・ロスト・ランズ』の監督・プロデューサーを務めたポール・W・S・アンダーソンと話していると、ふと“グレイルウォッチ”を追い求める旅と映画のテーマが重なって見えた。そこで、ブランパンの時計がこの映画にどう関わっているのかを尋ねた。「これは探求の物語なんです。ミラとデイヴが演じる魔女と狩人が、失われた土地へと旅に出る。そしてその旅に、時計は欠かせない存在となります。ジョージ・R・R・マーティンはこれを“大人のためのおとぎ話”として書きました。でもそれはディズニーのような美しいものではなくて、つま先が切り落とされるような、グリム兄弟の『シンデレラ(原題:Cinderella)』に近いのです。原作にはダークな側面がありながら、どこか神話的で、おとぎ話のような世界観がある。そのなかに、この時計は完璧に溶け込んだと思いました」。そう語ると、ポールはZoom越しにゆっくりとうなずき、通話は静かに終了した。

チューダーは時計ファンの期待に応える形で新作を次々と発表した。

ブラックベイシリーズの進化、ペラゴスの新展開、さらには限定モデルのリリースなど、ブランドは多角的なアプローチを続けている。

では2025年はどうなるのか? 過去のリリース傾向を考えればある程度の方向性は見えてくる。しかし、チューダーは(姉妹ブランド同様)いつだって私たちの予想の斜め上を行く。新しいクロノグラフ、さらなる素材の進化、そして完全に予想外のサプライズモデル...今年もまた、時計界に大きな話題を提供してくれるはずだ。

例えば2024年のブラックベイ 58 GMTのように、チューダースーパーコピー 優良サイトは時計好きの“夢”を実現してくれるブランドだ。だからこそ2025年もまた、驚きと興奮をもたらしてくれると信じたい。どんなモデルが発表されるのか、ワクワクしながら予想してみよう。

マスター クロノメーター認定モデルの拡充

オメガと共同で、腕時計の新しい認証規格を開発したスイス連邦計量・認定局(METAS)。同機関の認証を受けた、チューダー初の腕時計、ブラックベイ セラミックが誕生してから4年が経った。そして2023年、チューダーの屋台骨ともいえるブラックベイシリーズの旗艦モデル、ブラックベイ 41mmがマスタークロノメーター認定を取得した。それに続くように、ブラックベイ 58 GMTとペラゴス FXD GMTもMETAS認定を受けた。近年、チューダーが力を入れているのがムーブメントの高性能化なのだが逆に言ってしまうと、現在METAS認定済みのモデルはこの4つのみ。この流れを汲んでほかのブラックベイ 58やブラックベイ GMTにも、METAS認定の波が広がる可能性は高い。この拡充は、今年確実に来るのではないかと予想している。

ブラックベイのGMTベゼルやダイヤルのカラーバリエーション

Photoshopの力で、ブラックベイ 58 GMTを黒×青ツートンにしてみた。本当はダイヤルのギルトも白にしたかったが...力不足だった。

次に確度が高いと思っているのは、GMTベゼルやダイヤル、ケースの新色だ。GMTモデルは現状、ブラックベイ GMTのペプシ、ブラックベイ 58 GMTのコーク、ブラックベイ GMT S&Gのルートビア、そしてワントーンのブラックとステンレススティールソリッドの計5タイプ。それに続く新たなカラーバリエーションが登場すれば、これも大きなトピックになりそうだ(ブラックダイヤルで黒×青のバットマンとか)。そのほか、ブラックベイ セラミックはいまだフルブラックのみの展開となっており、まだまだ可能性が広がりそう。たとえばホワイトセラミックやグレーセラミックのバージョンが出たら、間違いなく話題になるはず。個人的にも、ブラック一色だった展開にチューダーがどんなふうに新しいニュアンスを加えるのか、考えるだけで楽しくなってくる。そして2023年に発表されたブラックベイ 54もいまだブラックダイヤルのみの展開となっており、新色が仲間入りするだろう(私は無難にブルーが来ると予想している)。

ペラゴスの回帰と進化

ペラゴス 39とペラゴス FXD クロノ“サイクリング エディション”のキメラ。

ペラゴスはチタン製の本格ダイバーとして培った路線を軸に、さらなる派生モデルが考えられる。特にペラゴス クロノグラフが登場する可能性は高い。すでにペラゴス FXD クロノ“サイクリング”が存在するため、このモデルが基本として素材のチタンでクロノグラフ版を製作するのは自然な流れだ。なお上の写真は、ブラックダイヤルのペラゴス 39に、ペラゴス FXD クロノ“サイクリング エディション”の顔を合成した、幻のペラゴス クロノグラフモデル。ブレスレットやタキメーターの質感や仕上げに注目して欲しい。こうしたディテールを変えた新作が登場する可能性も十分考えられる。

小型化の波とファンの長らくの要望(特にブルーペラゴス 39)

ペラゴス 39をブルー仕様に! 既存の42mmブルーペラゴスは6時位置の文字がすべて白いが、39mmのブラックでは“PELAGOS”の文字が赤くなっており今回はそちらを踏襲した。

チューダーは大胆な実験的モデル(ピンクやフラミンゴブルーダイヤルなど)を投入しつつ、ファンの声をしっかりキャッチしているように思う。それを踏まえたうえで、“○○が出たら欲しい”といったネット上で長く要望が出ているテーマは、小振りのGMTやペラゴス 39のブルーモデルなどだ。チューダーはこうしたコミュニティ動向を無視せず、新作発表の場でサプライズを用意してくる可能性がある。​個人的には、そろそろ青いペラゴス 39が来てもおかしくないと思うが...小型GMTモデルのほうがまだ現実的かもしれない。というのも、姉妹ブランドのロレックスとは異なる方向性を打ち出すなら、小型GMTのほうがエクスプローラー IIとはまた違った選択肢になるからだ。

ノースフラッグの復刻・記念モデル

最後に、過去モデルのアニバーサリーイヤーに合わせた復刻リリースという望みもある。2025年は、チューダー初の自社製ムーブメント搭載モデルであるノースフラッグの発表10周年にあたる。ノースフラッグは2015年のバーゼルワールドで発表された現代的スポーツモデルであったが、今は生産終了となっており、その10周年を機に新生ノースフラッグが発表されるとの予想も各メディアでは挙がっている(昨年のチューダー新作予想でも名前が挙がっていた)。​特に、一体型ブレスレットのスポーツウォッチはここ数年で大きな盛り上がりを見せ、市場でもすっかり定番として根付いた。にもかかわらず、それに対応するモデルがチューダーには存在しないため、ノースフラッグでその市場に参入するのではないかと思うのだ。

さて、2025年4月1日(火)から7日間にわたって開催されるWatches & Wonders Geneva 2025で、その答え合わせをしよう。もしそこで発表されなくとも、2025年以内に今回予想したモデルが出るかもしれない。ほかにもこんな予想があるとお考えをお持ちの方は、ぜひコメント欄やSNSで教えて欲しい。

オーデマ ピゲが 顧客サービスを拡充~AP COVERAGE SERVICE を新たに開始

オーデマ ピゲは、ブランドが提供する最高の顧客体験の一環として、2022-2023年に全世界のオーデマ ピゲ ブティック、APハウス、正規販売店で時計を購入した顧客を対象に、2年間の無料サービスを開始しました。AP Coverage Serviceは、時計の修理、交換、返品に無償で対応することにより、盗難や、機能の一部または全部に対する破損のリスクをカバーします。サービスの提供の可否およびその条件について決定する権利は、オーデマ ピゲに帰属します。

©写真提供 オーデマ ピゲ

創業以来、オーデマピゲスーパーコピー 代引きN級品は顧客のニーズに応え、顧客に寄り添うことに努めてきました。AP International Sales Warranty(国際保証)に加えて、新たに全世界を対象とした2年間のサービスであるAP Coverage Service開始の発表は、ブランドにとっても喜ばしいことです。

2022-2023年に購入されたオーデマ ピゲの時計を対象に新導入されるAP Coverage Serviceは、盗難や、突発的に発生した、または予期せぬ外的要因によるムーブメントやケース、ブレスレット(セラミック、メタル)の破損など、機能の一部または全部に対する破損のリスクをカバーするサービスです。 時計のオーナーは、盗難や破損が発生する以前に、APウェブサイトのアカウントからこの新サービスを有効化しておく必要があります。機能的破損が生じた場合、オーデマ ピゲ ブティックやAPハウスに時計を預け入れ、メンテナンスサービスを依頼することができます。
万が一、盗難に遭った場合には、警察への盗難届を提示の上、地域ごとに設置された専用窓口まで、メールにてご連絡ください。

フェーズ1: 購入日に関わらず、2022年に購入された商品は、2024年12月31日まで本サービスによる補償の対象となります。また、2023年に購入された時計についても、購入日からの2年間が本サービスの対象となります。

フェーズ2: 今回のフェーズ1の結果をもとに、今後の展開や、サービス拡張の可能性について検討される予定です。

『オーデマ ピゲは、高品質の時計の製作にとどまらず、顧客に対し可能な限り最上のサービスを提供することを目指しています。時計業界初の試みであるAP Coverage serviceは、ブランドから時計に対する、また顧客に対する愛情に由来するものです。』フランソワ-アンリ・ベナミアス(オーデマ ピゲ CEO)

Hi-Careプログラムの詳細はこちらから:
https://www.audemarspiguet.com/com/ja/services/ap-coverage.html

Hi-Careプログラムの日本専用窓口:
coverageservice.japan@audemarspiguet.com

“Seek Beyond.”
「時計の先へ。想像の先へ。」    

【お問い合わせ】
オーデマ ピゲ ジャパン
03-6830-0000