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福島県南相馬市にて

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 財団法人南相馬市文化振興事業団からのお招きで、南相馬にある2ヶ所の仮設住宅と、別の仮設住宅がたくさんある場所に近いショッピングモールで演奏して参りました。私が伺った南相馬市原町区には数え切れない程たくさんの仮設住宅がありました。尺八の善養寺惠介さんと、パーカッションのよしうらけんじさんにも共演して頂きました。
 親戚が大勢暮らすこの地で、何か演奏でお役に立てることがあるならば、といつも思いつつも、一方では、悲しくて、今までどうしても楽器を演奏する気持ちになれなかったのも事実です。
 どの会場でも、お客様は心から楽しみにして笑顔で私たちの演奏を迎えて下さいました。よく知られた「さくら幻想曲」や「アベマリア」、善養寺さんの素晴らしい古典本曲、よしうらさんの楽しいパーカッションソロなど、いろいろな曲を聴いて頂く中で、小さい頃から聴いた「相馬盆踊唄」や「ふるさと」も皆様にも歌って頂きました。

 相馬盆踊唄の歌詞です…
「ハアアーアイョー 今年ゃ豊年だよ
穂に穂が咲いてよヨー
ハアアー 道の小草にも
ヤレサナ 米がなるヨ

ハアアーアイョー 道の小草に
米がなるときはヨー
ハアアー 山の木萱に
ヤレサナ 米がなるヨ・・・」

 美味しいお米がたくさんとれる、本当に豊かで美しい土地でした。日の出と共に起き、日没と共に仕事を終える、農家の豊かな家で暮らす実直な方たちです。今は仮設に暮らす方たちが、涙とともに歌って下さるお姿に、胸が詰まってなりませんでした。
 震災から2年、家はあっても、戻ることが出来ません。電車もありません。若い方のお姿がみえません。南相馬に行くには、全村避難されている静まりかえった飯館村を通過する必要があります。まだ保障のお話も進んでいないそうです。現地に行ってみないとわからないことがたくさんたくさんありました。

 どんなに大変かわかりませんが、美しい笑顔で、逆に私たちをねぎらい心配して下さったご年配の方のお姿が大勢いらっしゃいました。あるがままを受け入れて、たんたんと過ごしていらっしゃる、そしてなおも私たちを思いやる貴いお姿に、私は言葉を失いました。

 これで良いのでしょうか。何とかならないのでしょうか。

 美味しいお米や野菜のとれる大地、きらきらしたお魚の泳ぐ海、楽しく囀る小鳥たち、飛び回る虫たち。大自然と共に生きることを教えてくれた私たちの御先祖様がいらっしゃいました。本当に心が痛くてなりません。

 笑顔で見送って下さった方たちに手を振りながら、人としての大切なことを教えて頂いた、旅となりました。

 お出会いに感謝を込めて、心から心から復興を祈ります。